講師へのご質問に対する回答

このたびは、プラクティカル看護セミナーをご視聴いただきありがとうございます。
2022年10月16日に生配信いたしました「ケアにつなげる! 透析の知識と看護」(視聴期間[10/16-11/15])につきまして下記のご質問をいただきました。

  1. テキスト49ページの飲水制限のところに、「低ナトリウム血症のない患者では、食塩制限のない飲水制限は拷問です」と書かれていますが、どういう意味なのでしょうか? メカニズムを分かりやすく教えていただけたらと思います。

こちらにつきまして、講師より回答がございましたので、以下にお示しします。
なお、本セミナーは2つの視聴期間にて参加募集いたしましたが、視聴期間[11/18-12/19]にてお申し込みいただきました皆様からのご質問につきましても、本ページ内にて回答を追加していく予定です。

テキスト49ページの飲水制限のところに、「低ナトリウム血症のない患者では、食塩制限のない飲水制限は拷問です」と書かれていますが、どういう意味なのでしょうか? メカニズムを分かりやすく教えていただけたらと思います。

回 答

ご質問ありがとうございます。

透析間で体重が増えるのは、食塩摂取に見合う水分量が蓄積することによります。これが「8.2gの食塩の蓄積が、1Lの水の蓄積」につながるのです。
事務局注:テキスト48ページ参照。血清Na濃度の基準値140mEq/Lを食塩水に換算すると8.2g/Lとなります。)

つまり、体重増加が多い患者は、食塩摂取量が多いために、結果的に飲水量が多くなって体重が増えてしまうのです。このような患者では、食塩制限をしなければ体重増加を抑制できません。食塩を摂取したのに飲水を制限するのは、高Na血症となり、口渇感が強くなります。このような状態で飲水を制限することは、口渇感を我慢させることになりますので、拷問になるのです。
体重増加の多い患者の指導は、「水を飲むのを控えてください」ではなく、「食塩を制限してください」が正しいのです。

一方、低Na血症の患者は、水中毒の状態で、食塩摂取に見合う水分以上の水分をとっているために起こるのです。このような状態では、飲水制限を行うことが重要です。その結果、水中毒が解消して血清Na値は正常化します。

指導の目安は、

  • 過剰水分(mL)=(140−血清Na)/140×体重×0.2×1000
で計算します。この水分量を自由水と呼びます。食塩摂取によらない水分摂取量です。