追加でいただいた講師へのご質問に対する回答

このたびは、プラクティカル看護セミナーをご視聴いただきありがとうございます。
2022年2月26日に生配信いたしました「Q&A方式で学ぶ呼吸管理と人工呼吸」につきまして、追加でお寄せいただいたご質問への回答が届きましたので、下記にお示しします。

開放吸引だと高いPEEPをかけている患者の肺胞が虚脱してしまうリスクがあると思います。
どの程度のPEEPまでなら開放吸引してもよいのでしょうか?
また人に寄りますが虚脱した肺胞がもとのPEEPの陽圧がかかるまで、どれくらい時間がかかりますか?

回 答

開放吸引だと、その間PEEPがかからないので肺胞が虚脱しやすいことは確かにあると思います。
虚脱のしやすさは、原疾患およびその重症度、患者の体型、吸引時の体位、自発呼吸の有無などで変わるので、安全なPEEPを示すことはできないと考えます。
肌感覚なので根拠はありませんが、強いていえば5cmH2O程度が境でしょうか。
また、人工呼吸器のグラフィックモニターを見ればわかるとおり、閉鎖吸引でも吸引中は気道内圧が下がります。
気管内は人工呼吸器の表示よりさらに下がるので、虚脱を避けることはできません。
開放吸引よりは少しマシという程度でしょうか。

虚脱した肺胞でも、陽圧換気を再開すればすぐにPEEPはかかりますが、再拡張するには時間がかかります。
質問の意図は、PEEPがかかるまでの時間ではなくて、再拡張するまでの時間という理解でいいでしょうか。
そうであるならば、これも患者側の要因および人工呼吸器設定で決まります。
健常肺ならば10-20分程度で再拡張することもありますが、ARDSのような病態ならば、再拡張しない可能性も大きくなります。
吸引に時間をかければそれだけ虚脱肺胞も多くなり、回復に時間がかかります。